調息・「いきをととのえる」ということ

調息・「いきをととのえる」ということ

 

1.「息」いきは「生き」

 「死ぬ」ことを「息を引き取る」といいます。「オギャア」と生まれるとすぐに息を始め、息を引き取るまで息をしています。生きていることは、息をしていることであります。

 とにかく朝起きてから、夜寝るまで、いや、寝ているときも息をしています。

 息をしているということは、ただ単に生理的に空気を吸って、そして、吐くことだけでなく、息を調えることによって「おおいなるいのちのながれ」に自分のリズムを一致させるものであります。

  

2.呼吸

 それでは、息・呼吸を「ハアー」吐いてから「スウー」吸い込むか。「スウー」と吸い込んでから「ハアー」と吐き出すか。 あなたはどうしていますか。息をすることを「呼吸」といっています、「吸呼」とはいいません、 だから息は吐いてから吸うのであります。

 

3.丹田呼吸

 立っていても、坐っていても、背筋を真っ直ぐに伸ばす。そして、胸から、腹から、たまっている息を吐き切ってしまう。鼻と口から不要な邪気をしぼりだすように出し切る。

 次ぎに、二・三秒息を止め、静かに空気を吸い込む。腹式呼吸である。「丹田」とは、「臍下丹田・せいかたんでん」「臍・へそ」の下の腹の真ん中のことで、丹田の「気」を、思い切って吐き出すことがすべてのことの始まりと思うことであります。

 

4.よく見え、よく聞こえる

 見ようとする目に曇りが無く澄んでいれば、聴こうとする耳が喧しくなく静かであれば、よく見え、よく聞こえます。曇りを無くし、静けさを取り戻すには、呼吸を調えることであります。

 吸を調えるには、吐き出す息・「呼」・をゆっくりと丁寧にしてみてください。

 

5.「阿・吽・あ・うん」

 坐禅は「阿吽の呼吸」です。坐禅をするとき始めに「欠気一息・かんきいっそく」といって、深呼吸をする。丹田呼吸といって、腹の底の息をゆっくり吐き出してから吸い込む。自然に呼吸が落ち着いてくる。すると、心も落ち着いてくる。「足の裏で呼吸をする」などと表現します。坐禅の呼吸をしてみませんか。